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あなたの「弱み」を売りなさい。 戦わずに売る 新しいブランド戦略/川上徹也

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今回はこちらの本をご紹介します。

タイトルあなたの「弱み」を売りなさい。 戦わずに売る 新しいブランド戦略
著者川上徹也
出版社ディスカヴァー・トゥエンティワン
初版発行日2015/11/19
備考kindleunlimitedで読了(後に紙の本で購入)
野々蘭

寓話的な短編小説に、思わず胸が熱くなる!

どんな本?

著者の川上さんはコピーライターであり、「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた、「ストーリーブランディング」という独自の手法を提唱しています。

本書の面白いところは、そのストーリーブランディングの活用や「弱み」を売りに変えていく流れを、『星ヶ岡のチンパンジー』という短編小説で学べるところです。

ビジネス系の小説というと、現代日本が舞台のお仕事小説(新人マーケターが先輩から学ぶ、みたいな)を想像するかもしれません。

しかし、この物語の舞台は、どこか異国情緒を感じる架空の国。
街から離れた丘の上で食堂を経営する、チンパンジーに似た「キエ」という男性が主人公です。

キエは幼い頃に両親を亡くしていますが、貧しいなかで母親がつくってくれる「ヤサボノ(その国の家庭料理)」が大好きで、いつしかその味を再現できるようになりました。
そして、念願かなって自分のお店をオープンすることができたのです。

ところが、街にいわゆるファミリーレストランができ、「世界中の料理が食べられる」、「(味はふつうだけど)ヤサボノも安く食べられる」と、お客さんをとられてしまいます。

焦ったキエは、声をかけてきた怪しい自称経営コンサルタントを信用し、価格競争のなかに身を投じていくことになり…。

と、そんな物語。

人物名や独特の名詞から、どこかRPGのような、異国情緒を感じる世界観。
なのに、出てくるトラブルがめっちゃ現代的でリアルという、なんとも言えないバランス感が面白いんです(笑)

野々蘭

小説自体は長くないし、ドキドキしながら一気に読んでしまいました!

小説のあとには、ストーリーブランディングについてのしっかりとした解説と、実際に活用するためのワークも収録されています。

理論オンリーのビジネス書はちょっと苦手…という方も、楽しんで読める1冊です!

全体の感想

ざっくり感想

川上さんは、コピーライティングやストーリーブランディングに関する本をたくさん書かれていて、私も何冊か読んでいます。
そのなかでも、個人的に一番好きなのが本書です(すべての著作を読んでいるわけではありませんが、まだ読めていない本も今後読んでいきたいです)!

やっぱりなんと言っても、小説で学べるというのが面白かったですね。

素朴でお客さん想いだったキエが、大手のレストランとの戦いに巻き込まれていく姿は、読んでいてけっこうハラハラしました(笑)

怪しい自称コンサルタントに言われるがままになり、無理に価格を下げたり広告費にお金をつぎこまされたり…そして、それはお店を成功に導くどころか、キエをどんどん苦しめていく結果になります。

最初こそ「えー!そんなのやめた方がいいよ!」と思いながら読んでいましたが、実際に当事者の立場になったら、その苦しさからキエと同様の行動をとってしまうかもしれない…というか、こういう事例って現実にもたくさんあるんだろうなと思って、胸が痛みました。

最終的には、兄のような存在で新鮮な食材を提供してくれる市場の「ンゴロ」、そして店に現れた謎の老人のヒントにより、キエは自分が本当にやりたかったことを思い出します。

キエは、自分のお店の「弱み」が強みになることに気付くのです。

そこからキエのお店は、大手と価格で競争しなくても愛される、とくべつなレストランに生まれ変わります。


この物語はフィクションですし、現実では老人のように心強い存在は、そうそう現れてくれないかもしれません。

ですが、ンゴロや老人がいなくても、この物語や解説で得たヒントは、実際のビジネスやファンづくりに応用ができます。

本書で紹介される「ストーリーブランディング」は、小さなお店はもちろん、中小企業や無名の個人の活動にこそ役立つ戦略です。

とくに私の周りには、クリエイターさんや、クラウドファンディングに挑戦されている方も多いので、そういった方にオススメしたいです!

ストーリーブランディングとは

ストーリーブランディングが大事だということは分かったけど、結局どういうこと?と思いますよね。
本書にはこのように書かれています。

ストーリーブランディングを簡単にいうと、

「あなたのお店、会社、商品が本来持っている価値を、人の心が動くように、わかりやすく見える化する」

ことです。

P.145

「商品そのもの」を売ろうとすると、どうしても価格競争や品質・機能性の向上に走ってしまいがちですよね。

ですが、小さなお店や個人は、大手に価格で勝つのは難しい。
品質向上といっても、この時代、そこまで大きな差をつけることは難しく、そこに時間やコストをかけても回収できるとは限りません。

そんな現代だからこそ、感情的な部分に訴える「物語」が大事なのだと言います。
そして、それは後付けするものではなく、もともと持っている価値を「見える化」することで伝えられるのです。

野々蘭

以前ご紹介したセルフブランディングの本でも、既に自分の中にある経験や価値を武器にするという話が出てきましたね!

ストーリーの黄金律

では、ビジネスにおける「ストーリー」とはどんなものなのか。
本書では、「商品、お店、会社にまつわるフィクションではないエピソード」と定義しています。

そして、それを魅力的に伝える3つの要素として、『ストーリーの黄金律』というものが紹介されています。

ストーリーの黄金律
  1. 何かが欠落している、または欠落させられた主人公が、
  2. なんとしてもやり遂げようとする遠く険しい目標やゴールに向かって、
  3. 数多くの葛藤・障害・敵対するものを乗り越えていく

これは、多くの映画や漫画、ドキュメンタリーやスピーチなどにも共通する、人の感情を揺さぶるストーリーの法則です。

先ほどの『星ヶ岡のチンパンジー』も、たしかにこの流れになっています(思わず、キエがんばれ!って感情移入しちゃいましたねw)。

たとえば、つぎの二つのレストランの紹介を見て、どちらを応援したくなるでしょうか。

【A】のレストラン
「街中の利便性が高いレストランです。どこよりも安くて、メニューが豊富なのが売りです。」

【B】のレストラン
「丘の上の小さな食堂ですが、街中にできたファミレスに打撃を受け、一時は廃業寸前にまでなりました。なんとか巻き返そうとして、たくさんの失敗や、辛い想いもしました。
でも、お客さんに美味しいヤサボノを食べてもらいたくて、あきらめずに自分のお店にしかできないことをやろうと思ったんです。
そんなとき、「弱み」だと思っていた〇〇のすばらしさに気付き、今ではそれを活かして、お客さんによろこんでもらえるお店になりました。」

【A】はシンプルに、機能性や利便性だけを伝えています。

そして【B】は、私が勝手にキエになりきって(笑)、お店のストーリーを伝えてみました(最後の部分はネタばれになるので伏せています)。

単純な情報量の差もありますが、【B】のほうが、感情に訴えてきませんでしたか?

この法則は、自分が取り組んでいることを伝えるとき、想いを込めてつくった商品を紹介するとき、またはフィクションの作品を書くときにも応用できそうです。

「ストーリーの黄金律」、ぜひ参考にしてみてください!

野々蘭

ちなみに、小説では悪者っぽく書かれていますが、私はファミレスも大好きです(笑)

個人的アクションプラン

最後に、改めて本書を読みなおして、これからやっていこう、意識していこうと思ったことを3つ選んでみました。

  1. 「志(こころざし)」の言語化
  2. 失敗や悩んでいる姿を見せることを(過度に)恐れない
  3. 「期待値の1%超え」する方法を考える

実を言うと、これだけブログを書いたり「やりたいことリスト」を載せたりしている私ですが、スケールの大きい目標や、本当の意味で弱い部分をおもてに出すのが苦手だったりします(入稿ミスとかネタになる失敗はガンガン書いてますがw)。

ずいぶん前に読んだ本なのに、こうして再読すると、あまり変われていないかも…ということに気付かされてしまいました(笑)

せっかく「自分の「弱み」も強みになるかもしれない!」と勇気をもらったので、出来ることから少しずつ取り入れていこうと思います。

まとめ

唐突ですが、最近AIの進歩についての話題をよく耳にしますよね。

クオリティはピンキリですが、なかにはイラストや映像、音楽など、びっくりするようなレベルの作品もあって、人間のクリエイターとしてはちょっと複雑な心境です…。

でも、今のところ、AIにはこの「ストーリーブランディング」は使えないだろうと思っています。
逆を言えば、ストーリーブランディングは人間の専売特許であり、とくに大企業より「人間味(み)」を感じさせられる、個人や小さいお店の強い味方と言えるでしょう。

野々蘭

「落ちこぼれAIくんが努力で学習能力を向上させ、最終的に人間を超えるストーリー」…が現実化したら、それは感動してる場合じゃないかもしれないな(笑)

本書に出てくる戦略やワークは、一朝一夕で答えが見つかるものではないかもしれません。
ですが、ときに最後まであきらめないキエを思い出しながら、私も自分の「弱み」と向き合っていこうと思います。

「自分の売りってなんだろう?」と思った方は、ぜひ一度読んでみてください!

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野々蘭

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