今回はこちらの本をご紹介します。
タイトル | 行動経済学まんが ヘンテコノミクス |
著者 | 佐藤雅彦、菅俊一、高橋秀明 |
出版社 | マガジンハウス |
初版発行日 | 2017/11/16 |
備考 | 紙の本で読了 |
行動経済学は、心理学と経済学を合わせた学問で、主にマーケティングなどの分野で注目されているよ!
- 行動経済学に興味がある
- 漫画で楽しく勉強したい
- かしこく買い物がしたい!
どんな本?
行動経済学とは何か。
本書のカバーには、このように書かれています。
今までの経済学は、「人間は必ず合理的な経済行動をするもの」という前提で構築されていました。
ところが、普段の私たちは、それでは説明できない非合理なふるまいを多くしています。
行動経済学とは、従来の経済学では説明しきれない人間の経済行動を人間の心理という視点から解明しようとるする新しい経済学です。
人間は、直感や感情に左右される生き物。
買い物の際の意思決定や、損得にかかわるシチュエーションで、ときに非合理な行動をとってしまいます。
余計なものを買わなければ安く済むのに、「セール」や「送料無料」という言葉に踊らされて、不要なものまで買ってしまう。
商品の種類を増やしたら、お客さんが選べずにむしろ購買率が下がってしまった…など。
このように、人間の感情がどう動くかを知ることは、ビジネスを考えるうえでとても参考になります。
また、消費者側としても、「自分の判断は合理的なのか?」、「心理効果によって非合理な判断をしていないか?」と考え、無駄な出費を防げる……かもしれません(笑)
あなたなら、売る側、買う側、どっちの視点で読みますか?
行動経済学の説明が続いてしまいましたが、本書はこういった心理効果の数々を、1テーマにつき1話完結の漫画で解説しています(もともとは雑誌「BRUTUS」で連載していたものを、大幅に加筆修正した本です)。
表紙を見ていただければ感じると思いますが、「昭和の国民的な漫画かなにか?」と思うような、どこか懐かしさを感じる絵柄の漫画。
しかし実は、漫画担当の高橋秀明さん(アートディレクター・クリエイティブディレクター)をはじめ、著者の3人全員が漫画未経験者だったとか!
ただ、そんな方々の柔軟な発想あってか、大胆で実験的な回もあり、漫画としてもさまざまな表現を楽しめる本になっています。
全体の感想
ざっくり感想
どちらかというと、やはり消費者側の視点で、「わかる~!私もこう思っちゃう!」、「自分もきっと、主人公と同じ行動をとっちゃうだろうな~」と共感する部分が多かったです。
つまり、ふだん無意識に、非合理な判断をしているんだろうと思いました(笑)
そんな「あるあるネタ」として楽しみながらも、「もしかしたら、これは自分でも役立てられるかも?」と考えるのも楽しかったです。
また、先ほども少し触れたとおり、挑戦的で常識にとらわれない漫画表現が面白いんですよね。
1ページの情報量がすごかったり、文字のみの真っ白なコマ割りを見て、読者に絵(何が起きているか)を想像してもらう回があったり……。
こんな表現もアリなのかと、趣味で漫画を描く一人としても刺激を受けました(笑)
あと、自分は「真面目な学問を、ギャグマンガでわかりやすく解説する」という本が好きなんだなということにも気付きましたね。
最近はそういった本が増えているように思えるので、もっと色々な分野で読んでみたいです!
ちょっとした言い回しが印象を大きく変える
先述のとおり、本書では、様々な行動経済学の例が漫画で紹介されています。
その中でとくに身近に感じたのは、言葉の選び方や話す順序によって、受ける印象が大きく変わるという話です。
たとえば『第3話「スーパーおしの」の巻』は、スーパーマーケットの跡継ぎとなった主人公が、販促POPを書くたびに、父親からダメ出しを受ける話です。
ここで、次の2種類のコピーを見てください。
「従来の製品より少ない油で揚げた、ヘルシーなポテトチップス」をアピールする場合、どちらの表現の方が欲しくなると思いますか?
- 従来の製品の90%の油分を使用!!
- 従来の製品より油分を10%カット!!
いかがでしょうか?
どう考えても②の方ですよね(笑)
なんとなく①の方は、あまりヘルシーさを感じられないと思います。
でも、よくよく考えると①も②も、言っていることは同じ。
なのに、表現の仕方しだいでこんなにも印象が変わると思うと、面白くないですか?
このように、同じ情報でも提示の仕方によって異なる印象を受けることを、「フレーミング効果」と言います。
紹介されていた行動経済学のなかには、「おもしろいけど、仕事や日常生活にどう活かしたらいいんだろう」と思うものもありました(私がピンときてないだけかもしれませんが)。
そんな中で、こういった「言葉」や「言い回し」に関する心理効果は、一番身近で取り入れやすいものなんじゃないかなと思います。
面白かった漫画(心理効果)3選
本書のなかで、個人的に印象的だった、面白かった漫画(心理効果)を3つ選んでみました。
- 第3話「スーパーおしの」の巻(フレーミング効果)
- 第8話「欲しいけど買えない」の巻(おとり効果)
- 第9話「占い師のアドバイス」の巻(親近効果)
第3話については、先ほど触れたとおりです。
そして第9話についても、ネガティブな男性が「言い回し」を変えることで、ハッピーエンドになるというお話です。
人に感想を伝えるときは、ポジティブな意見が最後にくるように、話す順番に気を付けよう(そんなこと?と思うかもですが、意外と逆をやってる人いるかも…)!
物語については実際の漫画を読んでいただきたいのですが、気になった心理効果があれば、ぜひ具体例などを調べてみてくださいね。
まとめ
行動経済学について、興味を持っていただけたでしょうか?
この分野の本を読むのは初めてでしたが、私はめちゃくちゃ興味がわきました(笑)
正直なところ、知識だけ持っていても、すぐに生活に活かすのは難しい部分もあると思います。
でも、「人間はときに不合理な判断や行動をとる」と知っていることで、ものの見方や判断の仕方が変わってくる場面が出てくるかもしれません。
とくに、商品やサービスを売る立場の方は、知っていて損はない知識だと思います。
ちょっとした雑学として話のネタにもなるので、知的好奇心を満たすためや、娯楽として読んでみるのもオススメです!
きっと誰かに話したくなる!